民泊規制について

空き部屋マッチングサービスを利用した民泊に対する規制について、調べたことをまとめます。


<結論>
(1)大田区以外の場合、反復継続して営利目的でAirBnB等の空き部屋マッチングサービスを利用して客から宿泊料を取るような場合、旅館業法10条1号・3条1項違反として、6月以下の懲役又は3万円以下の罰金刑にあたる。
ただし、6月以下の懲役・3万円以下の罰金刑は、刑罰としては高くはないものの、民泊の大規模経営をして書類送検された例が平成27年12月に存在する(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16H1M_W5A211C1CC0000/)。
(2)大田区の場合でも、民泊条例に基づいて、大田区の認定が必要になる。
  この特定認定は、旅館業法の許可より要件が緩やかであるが、最低でも1週間以上の宿泊客に対してしか適用がないなど、全くの自由という訳ではない。
(3)大田区以外の関東圏(東京都全域・神奈川県全域・千葉県成田市)等の外の特区については、民泊条例制定待ちの状態にある。
(4)以上からすると、空き部屋マッチングサービスを利用した民泊の運営は、
法的にはグレーゾーンもしくはブラックであって、民泊ビジネスに参入するかどうかは、
大田区以外はその人次第とならざるを得ない。

<理由>
(1)旅館業法による規制
  旅館業法は、都道府県の許可を得ないで「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業」を行った場合、
 6月以下の懲役又は3万円以下の罰金刑にあたる旨規定している(旅館業法10条1号3条1項、3条1項)。
  
  そして、ホテル営業とは、洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
  旅館営業とは、和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
  簡易宿所営業とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。

(2)国家戦略特別区域法による規制緩和
  ただし、現在、国家戦略特別区域法が制定され、大田区については、民泊条例も制定され、区からの認定が得られれば、今月末から公認で運営が可能となった。
  大田区大阪市以外の特別区域(東京都全域・神奈川県全域・成田市等)については、現在民泊条例の制定待ちの状態である。

  大田区の場合でも、1週間以上の宿泊に限定されるなど、認定を得るための要件を備える必要がある。


(3)旅館業法違反の場合、「6月以下の懲役、3万円以下の罰金刑」という刑罰は、刑罰としては軽い部類に入ります。
 たとえば、ごみの不法投棄罪は「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」、下着等を盗撮する罪は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。これらと比べても軽い罪ではある。
 しかし、平成27年12月に京都で書類送検された例がある。

(4)東京五輪に向けて現在法整備が進められている件なので、随時最新の情報にアップデートする必要がある。


<参考:旅館業法>

第二条  この法律で「旅館業」とは、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業及び下宿営業をいう。
2  この法律で「ホテル営業」とは、洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
3  この法律で「旅館営業」とは、和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
4  この法律で「簡易宿所営業」とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。
5  この法律で「下宿営業」とは、施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう。
6  この法律で「宿泊」とは、寝具を使用して前各項の施設を利用することをいう。

第三条  旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長。第四項を除き、以下同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、ホテル営業、旅館営業又は簡易宿所営業の許可を受けた者が、当該施設において下宿営業を経営しようとする場合は、この限りでない。

第十条  左の各号の一に該当する者は、これを六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一  第三条第一項の規定に違反して同条同項の規定による許可を受けないで旅館業を経営した者
二  第八条の規定による命令に違反した者